2024.4月号 図書館コラム
テーマ:図書館貸出人気の絵本
「どんな絵本を読めばいいの?」
「この絵本を眺めていると、子どもがニコニコしする!」「何度も『読んで』とおねだりされるんです」。図書館で仕事をしていると、利用者の方からそんなお話を聞く機会があります。一方で「どんな本を読めばいいのか分からない」「同じような絵本に偏っているかも」といった不安の声も。実は、普段お子さんと過ごされているお父さん、お母さんだけではなく、保育園や幼稚園の先生、図書館のスタッフも絵本を選ぶときは迷います。そこで今回は図書館で貸出人気の絵本を中心に、お子さんの成長に合わせたおすすめの本を紹介します。
(1)はじめての絵本
生まれたばかりの赤ちゃんの視力は0.01~0.03ほど。かろうじて焦点が合うのは抱っこしている大人の顔くらいだそうです。『かおかおどんなかお(こぐま社)』は楽しい顔、泣いた顔、いたずらな顔…といった様々な表情を大胆にデフォルメした切り絵がずらりと並んでいて、次々と現れる色んな顔に笑ったり真似したりできる絵本です。「人の顔をじっと見るようになった4ヶ月頃に、絵本を見て初めて笑ったのがこの本だった」という赤ちゃんもいるようです。
絵本作家かがくいひろしさんの『だるまさんシリーズ(ブロンズ新社)』も長年人気の絵本です。柔らかな筆致で描かれた丸くて赤いだるまが伸びたり縮んだり。さらに独特なリズムと間で、子どもも読んでいる大人も思わず笑顔になります。実はかがくいさんの絵本は、障害がある子どもの教育現場の経験から生み出されたもの。『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊(玄光社)』の中でかがくいさんは「ストーリーがなくても音と動きだけでシンプルに伝わる絵本をつくりたくてできた作品。小さい子どもやハンデのある子どもでもとっつきやすくて、面白がってもらえるものにしたい」と作品への思いを述べています。その言葉の通り、多くの人から愛されている作品です。
(2)好奇心をくすぐる
子どもは面白い動きが大好きです。『発達段階×絵本(風鳴舎)』によると、2歳になれば身の回りの植物や動物に関心や好奇心を示し、ごっこ遊びを楽しんだり、興味を持って乗り物絵本や科学絵本を見るようになるそうです。例えば「うんとこしょ どっこいしょ」のフレーズで親しまれている『おおきなかぶ(福音館書店)』。幼稚園や保育園の発表会でもおなじみのロシア民話です。絵本に出てくる動きを真似しながら掛け声と引っ張り合いでお友達と遊ぶ子どもも多いようです。
前からも後ろからも読める乗り物のしかけ絵本『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう(ひさかたチャイルド)』は、電車の旅をエンドレスに堪能できる構成になっています。トンネルは穴あきしかけになっていて、そこから前後のページの景色が楽しめ、好奇心をくすぐります。絵本を楽しんだ後は、電車を見に行ったり車窓からの風景を見つけにお出かけしたりして、子どもたちの体験をさらに豊かにしてあげるのもいいですね。
(3)図書館の活用を!
神戸市立図書館のホームページからは、貸出の多い人気の児童書を探すことができます。探し方は、トップページの蔵書検索(スマートフォン)から「貸出の多い資料」を選択、そこから「児童図書」を選ぶとランキング形式で児童書が並んでいます。そして新長田図書館では定期的にスタッフが絵本の読み聞かせを行う「えほんの会」や、ボランティアによる絵本の紹介と読み聞かせをする「おひざのうえのおはなし会」などさまざまなイベントを開催しています。季節やお子さんの年齢に合わせた絵本を紹介します。おすすめの絵本を用意して、みなさんのご来館をお待ちしています!
神戸市立新長田図書館
佐藤 芳