32. 2021.1月号 ドクターコラム

2021.1月号 ドクターコラム

「リプロ」のプロ集団Mimosa代表の産婦人科医、杉山伸子です。

このコラムでは、リプロダクティブへルス(略して「リプロ」)に特化した情報を皆さんにお届けしています。


2021年を迎えて、そろそろ1ヶ月になります。新年の目標は立てましたか。

まだ今年の目標を立てていない方にお勧めしたいのが、「運動習慣をつける」ことです。コロナ禍による外出自粛もあり、運動が不足しがちです。運動はがんや生活習慣病予防にも効果がありますが、適度な運動は免疫システムにもプラスに働きます。新型コロナウイルスに負けないカラダづくりとして、免疫力アップのためにも体を動かしてみませんか。

《運動する習慣がありますか?》

令和元年の国民健康・栄養調査の結果によると、子育て世代(20~49歳)は男女ともに運動習慣がない人の方が多くなっています。運動習慣があると答えた人の割合は、男性では4人に1人、女性では10人に1人程度しかいません。

運動習慣が定着しない理由として、多くの人が「仕事(家事・育児)が忙しくて時間がない」と回答しています。確かに、現代の生活の中で、まとまった時間をとって運動するのは簡単ではありません。

しかし、運動習慣を改善したいと思っているなら、その気持ちを無駄にしてはいけません。まとまった時間をとって運動することが難しいなら、隙間時間を活用しましょう。小さな目標の積み重ねがポイントです。まず「とりあえず、毎日何らかの運動をした」というレベルから始めてみましょう。

《どんな運動がいいのでしょうか?》

激しい運動は、免疫システムにとって逆効果になることもあります。運動強度として中程度がおススメです。目安としては、軽く息が上がる程度になります。運動の種類は問いません。

感染予防対策を考慮すると、個人でできるものがよいでしょう。家の中、あるいは密にならない場所で行いましょう。

今まで運動習慣がなかった人は、まず5分間を運動のために確保しましょう。習慣化できたら、5分間の運動回数を増やすか、1回あたりの時間を少しずつ延していきましょう。

《おススメの運動3選》

万人向けなのがウォーキングです。5分間という短い時間なので、両腕をしっかり前後に振って早歩きをします。よく利用するポストやATM、コンビニエンスストアまで歩いて何分かかりますか。往復で5分程度の場所を選び、そこに出向いてみましょう。駅まで徒歩で通っているなら、歩くスピードをアップさせるだけでもOKです。

外に出るのがままならないとき、寒いときや雨のときにピッタリなのがおうちでのトレーニングです。オンラインでできるヨガやエクササイズのレッスンも増えました。YouTubeで探せば、好きなタイミングで動画を観ながら体を動かすことも可能です。移動の必要性もなく、小さなお子さんがいてもできます。運動強度を確保するためには、静かなヨガよりもパワーヨガやダンス系が良いかもしれません。楽しく続けられそうなエクササイズを見つけてください。

筋肉質な身体を目指す方には、やはり筋トレがおススメです。ジムに行かなくても、自重トレーニングだけで筋力アップは図れます。小さなお子さんを肩車してスクワットなど、お子さんと一緒にしながら負荷を加えることも可能です。

《運動するときの注意》

5分間という短い時間では、入念なウォーミングアップやクールダウンができません。運動の始めと終わりは、少し力を落として行いましょう。特に、寒いときや体が冷えているときは、初めの1分間はウォーミングアップにあてるようにしてください。

短い時間でも、運動によって体への負荷がかかります。運動することで体に異常を感じたときはすぐにやめましょう。症状が続くようなら、医療機関を受診しましょう。

持病がある方や妊娠中の方は、運動内容や運動時間について主治医と相談してから始めましょう。

《継続するためのヒント》

仲間を作りましょう。一緒に取り組めば続けやすくなります。同じ時間に運動する必要はありません。実行したらお互いに報告し、応援しあいましょう。

SNSなどで運動を始めたことを発信してみてはどうでしょうか。応援のメッセージが届くと、励みにもなりますし、やめにくくなります。

ちょっとした隙間時間にすぐ取り組めるように、玄関にスニーカーを準備しておくとか目につくところにヨガマットを置いておくといった工夫も役立ちます。

そして、小さなゴールを設定しましょう。ゴールに達したときの達成感は、継続へのモチベーションになります。

実は私も、今年から毎日歩くようにしました。転居に伴いヨガのレッスンが受けられなくなり、運動とは疎遠になっていたので、年が変わったのを機にしっかり取り組むことにしました。まとまった時間が取れない日でも、最寄りの郵便局まで歩いていきます。悪天候なら、家の中で体を動かします。皆さんも一緒に、「運動習慣をつける」ことにトライしませんか。

                  


Mimosa代表 杉山伸子

 10年を超える産婦人科医としての臨床経験を通じて、女性がより健康で幸せな生活を送るためには、女性の健康リテラシーの向上が大切だと考えるようになりました。
その実現を目指し、女性の健康に関する情報提供・教育・相談を行う団体として、Mimosaを立ち上げました。
共に活動しているメンバーは、今までの職場で出逢った信頼できる女性医療のプロばかりです。