7. 2020.2月号 図書館ニュース

2020.2月号  図書館ニュース

絵本と一緒に  親子で幸せなひとときを

神戸市立新長田図書館  窓口責任者 平山頌子  


赤ちゃんにどんな絵本を選べばいい?

 図書館で乳幼児向けの行事を実施していますと、「絵本を読み聞かせるのが良い、って言うけれどどんな絵本を読んであげればいいのか分からない」という親御さんの声をよく耳にします。絵本を買いに書店に行っても、どれが一番いいのだろう? うちの子はどの本を喜んでくれるのだろう? と困ってしまわれることもあるようです。

そんな時に、ぜひ図書館を活用してください。図書館で私たち司書が、お困りの場合は絵本を紹介することもできますし、月に2回、乳幼児向けの行事を行っていますので、その時にご相談いただくこともできます。0~3歳のお子さんをお持ちの親御さん達も参加されていますのでゆったりとした気持ちで色々な絵本に触れて、ぜひお気に入りを見つけて楽しんでいただけると幸いです。

絵本を通じた様々な体験を

 図書館にやってくる子どもたちに読み聞かせをしていますと「この年齢の子には(ストーリーが)少し長すぎたかな?」と思っても、驚くほど集中して聞いてくれることがあります。聞いている子どもたちをひきつける魅力あるストーリーの絵本が、世の中にはたくさんあります。

 例えば『ひとまねこざるときいろいぼうし』(岩波書店)という絵本があります。“おさるのジョージ”が登場するシリーズと言った方がお馴染みでしょうか。先日、図書館で年中から小学校低学年の子どもたちにこの絵本を読み聞かせました。通して読むと、10分以上のボリュームがある絵本ですが、最後までしっかりと聞いてくれました。次々といたずらを重ねていくジョージを自分に重ねて、町じゅうを駆け巡っていたのでしょうか。子どもたちにこんなに集中する力があるのか、と思わされる出来事でした。

 絵本の中では、船で冒険に出たり、農場で暮らしていたり、大きなカステラを作って食べたり…。実際に今の私たちが、絵本と同じ体験をすることは難しいこともありますが、子どもたちは登場する人や動物になりきれる力を持っています。

 読み聞かせをしていて、今読み終えたばかりの同じ絵本を「読んで」とリクエストされるのであれば、きっと子どもたちにとって、心を動かされるよい体験ができる絵本だったのでしょう。読むほうは大変かもしれませんが、「今のうちだけだから」と思って時間の許す限りお子さんに付き合ってあげてください。

 親御さんが楽しんで読んでくださると、聞いている側にもその気持ちが伝わります。思いがけずお子さんの成長が感じられる瞬間や、絵本を聞いているときの反応に心安らぐ瞬間もきっとあると思います。お子さんにとって、親御さんからの読み聞かせは何物にも代えがたい体験です。ぜひ、たくさんの絵本を通じて、たくさんの体験をして欲しいと願っています。

参考にした本

  • 『読む力は生きる力』脇明子著 岩波書店
  • 『えほんのせかいこどものせかい』松岡享子著
  • 日本エディタースクール出版部『赤ちゃんに贈る絵本ガイドブック』田中裕子著 グランまま社

神戸市立新長田図書館 窓口責任者 平山頌子

神戸市立新長田図書館

  • 開館時間:火~土 10:00~20:00、 日・祝 10:00~18:00
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