2023.10月号 図書館ニュース
子どもはお手伝いしていますか?
おうちで子どもたちはお手伝いをしていますか?「もちろん!」という方もいれば、「それがなかなか…」ということもあるでしょう。私自身、子ども時代を振り返ると、「今やろうと思ってた」などと言い訳したうえで、しぶしぶお手伝いをしていたことを思い出します。
ところで、子どもは本来、自分のことは自分でしたいという気持ちを持っています。子どもが前向きにお手伝いに取り組むために、大人はどのような工夫ができるでしょうか?三冊の本を手がかりに、いっしょに考えてみましょう。
(1)言葉がけを工夫する
お手伝いを頼むとき、親が気を付けることはあるでしょうか?『できる子になる!0歳からのお手伝い』(「月刊クーヨン」編集部編/クレヨンハウス)によれば、子どもがお手伝い嫌いにならない頼み方として2つのポイントを挙げています。それは、①親が「ありがとう」の気持ちを持つこと、②手伝ってもらいたいことを事務的に伝えることです。そもそも、子どもたちはお父さん・お母さんの役に立ちたいと思っています。そのため、まず、親はそのような子どもの気持ちに対して感謝の気持ちを持つことが大切だそうです。「ありがとう」と温かな気持ちでいると、頼み方が自然と変わってくるのかもしれませんね。具体的な声かけ方法は、こちらの本の特集「お手伝いがしたくなることばがけ」が役に立ちます。
(2)子ども用の道具を用意する
掃除用具や子どもが使うタオルやハンカチ、子どもの手には大きすぎることがありませんか?使いにくい道具だとやる気が出ないものですよね。そんなときは、子どもが扱いやすい小さめの道具を用意するとよいかもしれません。例えば、短い棒の先に端切れを取り付けて小さなハタキを作り、掃除に参加してもらう。また、子ども用のタオルやハンカチは小さめにして、子どもが自分で畳んだり用意したりできるようにします。このように道具を変えるだけでも、子どもはお手伝いしやすくなり、張り切ってお手伝いをしてくれるでしょう。
(3)計画表と家族の標語を作る
子どもが小学生くらいになれば、「お手伝い計画表」と「家族の標語」を作ってみませんか?『親子で楽しむ こどもお手伝い塾』(辰巳渚著/明治書院)では、親も含め家族一人一人が曜日ごとに「自分ができること/したいこと」を決めて表を作り見えるところに貼り出すこと、また、家の標語を家族で決めて計画票の上に書くことが勧められています。こうすることで、ひとりひとりが家事をするかしないか迷うことに時間をかけずに、「今日は○○掃除の日だ」と気持ちよく動けるようになります。なお、計画どおりに進めるのが難しい場合は、都度バージョンアップするとよいでしょう。
とはいえ、子どものお手伝いは見ていてもどかしく、つい「子どもがいない間に片づけちゃおう!」としてしまいがちですよね。でも、発想を逆転させ、ときには子どもが見ているときに家事を進めるのもよいと思います。大人がせっせと働く姿を見せれば、意外と子どもは「手伝わなくちゃ」と思ってくれるかもしれません。
最後にもう1冊、お手伝いについて学べる本を紹介します。『おてつだいの絵本』(辰巳渚作/すみもとななみ絵/金の星社)は、子どもが自分の頭でお手伝いについて考え、掃除・洗濯などのお手伝いのコツを知れる内容になっています。章末のコラム「おてつだいが好きになるヒント」には家事の心構えが書かれており、大人にとっても勉強になる内容です。
自分のことはできるようになるために、さらには、家族や周りの人を思いやれるようになるために。新たな目でお子さんとお手伝いに取り組んでみてはいかがでしょうか。
神戸市立新長田図書館
石黒 友恵