2020.11月号 ドクターコラム
産婦人科医 Mimosa代表 杉山伸子
「リプロ」のプロ集団Mimosa代表の産婦人科医、杉山伸子です。
このコラムでは、リプロダクティブへルス(略して「リプロ」)に特化した情報を皆さんにお届けしていきます。
コロナ禍で10代の妊娠相談が急増しているという報道(https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/202006/0013432215.shtml)がなされました。休校や外出自粛が影響しているものと考えられています。
「わが子はまだ早い」と思っている方、油断は禁物です。
平成30年における15歳未満の出産数は37件、人工妊娠中絶の件数は190件でした。適切な知識がないまま性的な接触を経験してしまう子どもがいるという現実があります。
「性教育は学校におまかせ」ではなく、ご家庭でも子どもたちに性に関する情報を適切に伝えることができるようしておきませんか。そして、あなたのお子さんを性被害(被害者・加害者にならない)から守りましょう。
そこで今回は、小学生高学年に伝えたい性に関する知識を取り上げます。
(※昨年11月に「ながいく」耳より子育て情報において、幼児期の性教育についてお伝えしました。こちらもご参照ください。)
その内容は、次の3つです。
①思春期とは
②男の子の体の変化、女の子の体の変化
③プライベートゾーンを大切に、多様性を大切に
順に解説していきます。
- 思春期とは、大人になるための準備をする時期である
思春期とは、大人への体の変化(第二次性徴)が起こる時期を言います。ちょうど、8歳から12歳くらいを指します。
この変化が起こる理由として、「新しい命を生み出す準備をするため」であることを伝えましょう。
- 男の子の体の変化、女の子の体の変化
お子さんの性別だけでなく、男女両方の変化を伝えられると理想的です。変化を先取りできる時期(学校では、第二次性徴は小学4年生で学ぶ)に伝えておきましょう。
筋肉がつく、毛が濃くなる、ひげが生える、といった体の変化が中学生になる頃までに現れます。声変わりもします。
《男の子の体の変化》
陰茎や精巣が大きくなり、射精できるようになります。射精とは、赤ちゃんの素である精子を体の外に出すことです。
《女の子の体の変化》
脂肪がつく、毛が生えてくる、胸がふくらむ、といった変化が表れてきます。男の子より少しはやく始まることが多いでしょう。
月経が始まります。月経とは、新しい命である受精卵(精子と卵子がくっついてできる)を育てるために準備した子宮の内側の壁がはがれて出てくる出血のことです。
そのうえで、お子さん自身の体の変化に対する対処を教えておきましょう。
《射精したときの下着の処理》
射精できるようになった当初は、意識していなくても射精してしまうことがあります(夢精など)。精液には精子とそれを守る液体が含まれています。「汚いものではないけれど、大人になっていく証拠であるからには、精液が下着についたら自分で洗えるようになろう」と伝えましょう。
《月経のときの対処》
月経が始まる前から、生理用品の使い方を教え、生理用の下着を準備しておきましょう。胸がふくらみ始め、陰毛が生えてきだすと月経もそろそろ始まります。「月経は必ずしも痛いものではないけれど、痛かったら我慢しないで言うようにしてね」と伝えておきましょう。
③プライベートゾーンは大切に、多様性は大切に
- 「プライベートゾーンは、自分にとって大切な場所である」
ということは、幼児期から繰り返し、徹底して教えましょう。
プライベートゾーンは、「口」と「水着で隠れている場所」をさします。具体的には、性別にかかわらず、口、胸、性器、おしりです。
第二次性徴には、個人差がつきものです。
身長や体型の差にとどまらず、第二次性徴の早い遅いが出てきます。この違いを理由に、批判したりいじめたりすることがないようにしましょう。
極端に早い、遅い、小さい、大きいがあった場合には、小児科医に相談なさってください。病気が隠れていることがあります。
そうでなければ、お子さんの個性です。尊重してあげましょう。
もし自分の性別に違和感を持っているお子さんであれば、第二次性徴をきっかけにそれが顕著になってくるかもしれません。
もし、何らかの違和感を相談された場合、拒絶することだけは避けてあげてください。すぐに理解して受け入れることは難しいかもしれません。必要に応じて専門家や支援者・当事者団体などに相談し、お子さんにとって最善の対処を見つけていきましょう。

Mimosa代表 杉山伸子
10年を超える産婦人科医としての臨床経験を通じて、女性がより健康で幸せな生活を送るためには、女性の健康リテラシーの向上が大切だと考えるようになりました。
その実現を目指し、女性の健康に関する情報提供・教育・相談を行う団体として、Mimosaを立ち上げました。
共に活動しているメンバーは、今までの職場で出逢った信頼できる女性医療のプロばかりです。