90. 2023.6月号 図書館ニュース


2023.6月号 図書館ニュース

イヤイヤ期がやってきた!
この前まで赤ちゃんだと思っていたのにあっという間に2歳になった我が娘。着替えや食事など、多少のお手伝いは必要なもののできることが増え、やっとお世話も楽になってきた…と思ったのもつかの間。やってきましたイヤイヤ期!世間では「魔の2歳児」と呼ばれるほどやはりみなさん苦労なさるのか、我が家もお手上げ状態の日々が続きました。

十人十色のイヤイヤに
 「イヤイヤ期」と一言に言っても何がイヤかはその子それぞれ。『イヤイヤ期専門保育士が答える子どものイヤイヤこんなときどうする?100のヒント』ではバラエティに富んだ各イヤイヤに、著者で保育士の中田馨さんが具体的ですぐに実践できる方法を教えてくれています。「お着替えがイヤ!」「パパがイヤ!」「名前を呼んだだけでイヤ!」などなど、あるあるなイヤイヤからこんなイヤイヤもあったのか…と参考になるだけでなくクスッと笑えてしまう息抜きにもなる一冊です。

イヤイヤ期は成長のあかし
 そもそもどうしてイヤイヤ期はあるのでしょうか?『子どものねがい・子どものなやみ』によれば、2・3歳児の「イヤ!」には新しい発達への願いが込められているそうです。子どもは1歳半ごろから自分で選び、自分で決めるという主体としての「自分」がつくられていくそうです。次に2歳ごろから大きい・小さいなどを区別し、比較する力が育ちます。そしてこの主体としての「自分」と「大きい・小さい」の比較する力を得ることによって、「より大きい自分になりたい」という願いが生まれるそうです。とはいえまだまだ自分の思うようにはできません。ここで「大きい自分になりたい」という理想とできない現実との間に大きな葛藤が起こることになるのです。子どもの心の中も見えないだけでグングン成長している。そのことであらわれるのが「イヤイヤ期」だったのですね。

子ども目線に立ってみれば
 ここで絵本『ぐりとぐら』でおなじみ中川李枝子さんが書かれた児童書『いやいやえん』を紹介します。
主人公のしげるはお父さんが買ってきてくれた赤いくるまのおもちゃが気に入らず、次の日の朝になってもへそを曲げたまま。お母さんはしげるを保育園に連れていきますが、いやだいやだと言ってばかり。そんなしげるに先生は「いやいやえんにいらっしゃい」と伝えます。いやいやえんではいやなことは何もしなくていいのですが―。
 子どもは小さいながらに色々なことを考え、そして大きくなっていくことを感じさせてくれます。
 イヤイヤ期は子どもだけでなく、大人も一緒に成長して心の成長を応援してあげたいですね。

紹介した本・参考にした本
『イヤイヤ期専門保育士が答える
子どものイヤイヤこんなときどうする?
100のヒント』
(中田馨 文 クリハラタカシ 絵
実務教育出版)
『子どものねがい・子どものなやみ』
(白石正久 著  クリエイツかもがわ)
『いやいやえん』
(中川李枝子 さく 大村百合子 え
福音館書店)

神戸市立新長田図書館
井原木美弥佳