2025.3月号 ドクターコラム【子どもとの間に境界線を引く】
子どもとの間に境界線を引く
境界線とは、自分と他者とを分ける人間関係の境界線です。
この境界線を越えられると、つらくなります。境界線が守られれば、お互いを認め合ういい関係が築けます。
お子さんが適切な境界線を引けるようになるために、まずあなた自身が、お子さんとの間に適切な境界線を引きましょう。
境界線は、なぜ重要か?
・境界線を引けないと、他者の感情や問題を自分のものとして抱えてしまいます。あるいは、相手に頼りすぎたり関わりすぎたりします。すると、心地よい人間関係が築けません。
・境界線を引くことで、自分自身と他者を分けられます。自分のアイデンティティを守り、自立できます。
・いい人間関係を築くためには、お互いの境界線を意識することが大切です。基本的に、境界線を越えてはいけません。越える時には、許可を求めます。
・お子さんとの間に適切な境界線を引けないと、過干渉や共依存、虐待など、お子さんとの関係に問題が生じるかもしれません。お子さんが他者との関係を上手に築けなくなるかもしれません。
・適切な境界線を引くためには、練習を重ねることが大切です。お子さんにとって、保護者との間の境界線を意識することが最初の練習になります。
境界線を引くための5つのステップ
- 自分の責任範囲を明確にする。自分が責任を持つべき領域と、他者が責任を持つべき領域を区別します。他者の領域を侵害しないようにします。
- 自分の感情や態度を管理する。自分の感情や態度は自分自身で管理します。他者のせいにはしません。
- NOと言うスキルを身につける。他者の要求や期待に対して、自分の限界を超える場合は断ります。小さいNOから始めていきましょう。
- 自分の価値やニーズを確認する。自分が何を大切にし、何を必要としているかを明確にし、それを他者に伝えることが大切です。
- 助けを求めるスキルを身につける。自分一人で解決できない問題や困難に直面した場合、適切なタイミングで他者に助けを求めましょう。
境界線をうまく引けないことがあっても、あきらめないで。いつも境界線を意識するという努力をするだけでも変わっていきます。
もっと詳しく知る
・お子さんを性暴力から守るためにも大切です。文部科学省の「いのちの安全教育」の中でも、「距離感」として取り上げられています。
・境界線の考え方を子育てに取り入れる方法論に関する論文もあります。
『バウンダリーズ』概念の保育(育児)実践への適応 | CiNii Research
(インターネット上で検索すると、PDFで全文が読めます)
・今回説明した境界線は、アメリカの臨床心理学者であるHenry CloudとJohn Townsendが提唱した概念「バウンダリーズ理論」に基づく考え方です。
境界線(バウンダリーズ)増補改訂版 | ヘンリー・クラウド, ジョン・タウンゼント, 中村 佐知, 中村 昇 |本 | 通販 | Amazon
・境界線について、10代向けに書かれた本もあります。大人でも参考になります。
わたしはわたし。あなたじゃない。 10代の心を守る境界線「バウンダリー」の引き方 | 鴻巣 麻里香 |本 | 通販 | Amazon

Mimosa代表 杉山伸子
10年を超える産婦人科医としての臨床経験を通じて、女性がより健康で幸せな生活を送るためには、女性の健康リテラシーの向上が大切だと考えるようになりました。
その実現を目指し、女性の健康に関する情報提供・教育・相談を行う団体として、Mimosaを立ち上げました。
共に活動しているメンバーは、今までの職場で出逢った信頼できる女性医療のプロばかりです。
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